スイス高級紙『ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング』が報じた「平成」という時代とは……(同紙HPより)

 

 5月1日、新天皇の御即位と令和改元で、日本国内は祝意ムード一色に包まれた。日本では元号は国民の時代感覚と密接不可分に結びつく。令和という新時代に国民は大きな期待を寄せた。その日本を諸外国はどう見るか。多くの報道がある中、ここでは、平成とはどういう時代だったのかと分析するスイス高級紙『ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング』の論評を紹介してみたい。

経済力に見合った役割

 『ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング』紙は、平成は世上「失われた30年」と言われるが、それは単に失われた停滞の時代だったのではなく、多くの変化を経験した激動の30年だったとして概要(注、筆者責任にて大意とりまとめの上適宜加筆修正)、次のように言う。

 第1に対外面に関し、日本は、国際的責任をより積極的に果たそうとして大きな変化を遂げた。

 戦後、日本外交は平和主義に徹し、極力自らがプレーアップされることがないよう努めてきた。しかし、1989年の冷戦終結がそれを変えた。以後、平成の30年、その経済力に見合った役割をいかに果たすかが、日本外交の課題となった。

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