「一強」の弊害が大きくなっているのだが(C)時事

 

 いよいよ参議院選挙も大詰めを迎え、7月21日の投開票日が迫っている。

 直前の国会で噴出した老後資金「2000万円不足」問題から波及した年金問題やアベノミクスの成否、今秋に迫った消費税10%への増税問題、そして憲法改正など、争点として与野党ともにさまざま連呼している。

 が、街頭での各党党首、候補者らの絶叫はどこか虚しい響きに聞こえるほど、各種世論調査での「与党優勢」に揺るぎはなさそうだ。

 であればこそ、このままいけば憲政史上最長を迎える安倍晋三政権という「安倍一強」を生み出した根源とも言われる「官邸支配」政治、わけても官僚出身者の首相秘書官、首相補佐官、官房副長官ら「官邸官僚」たちによる「官邸政治」の功罪に、いまこそ焦点を当てるべきでは――。

 この視点に絞り、『官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪』(文藝春秋)を刊行したばかりの大宅賞受賞ノンフィクション作家の森功氏と、長年、経済官僚を取材してきたフォーサイト常連筆者のジャーナリスト大西康之氏に語り合ってもらった。

政策の先延ばしだけ

大西康之 なかなか下がりそうで下がらない安倍政権の支持率。何かあるたびに下がるけれども、また戻る。というよりはむしろ、相対的に野党がどうしようもないという敵失もありますが、しかしこれだけ成果を出さずに延命している政権の不思議さという点を、この参院選でも改めて実感することになりそうだと思います。この歴代最長の内閣を支えている力というのは何でしょうか。

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