地政学の進化:「抑止力」を乗り越えられるのか(2)
2019年7月27日
ここまでの話は、いわば大国同士で図式的に成り立つ、抑止の論理的な条件ということになります。
では「拡大抑止」となるとどうなるのか。
これは、日本のような小国が、パートナー国と同盟関係にあることによって、同盟の抑止力の恩恵を被ること、それが、拡大抑止です。もっともこれも、大国同士の抑止関係に結局は依存しているわけです。
同盟であることの「利益」「不利益」
どういうことか。抑止を提供する側の立場からすると、同盟国の防衛、つまりアメリカにとって日本を防衛することには利益(A)がある、ということです。その利益とは、盟主国としてのメンツであるとか、地政学的に日本が中国を封じ込めるには必要――昔はソ連封じ込めのためでしたが――だから、日本を守るべき実質的な意味があるということ。あるいは日本を失ったら、アメリカは太平洋を隔てて丸裸も同然だから、自国の防衛にとって日本を失うことなどあり得ない。こういう利益が考えられるわけです。
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