外務省の“勇み足”が、オバマ、マケイン両陣営から不興を買っていた。米ワシントンでの金融危機対策のための緊急首脳会合(十一月十五日)を利用して、麻生太郎首相と米次期大統領との“首脳会談”開催を画策し、まだ選挙戦真っ只中だった両陣営に打診したからだ。 日本政府関係者によると、十月後半に麻生首相の外交ブレーンである谷内正太郎前外務事務次官と外務省の杉山晋輔地球規模課題審議官が訪米し、両陣営の選対幹部に接触。次期大統領がオバマ氏に決まった場合は、“首脳会談”開催のためにオバマ氏の地元であるシカゴに行くことまで検討されたという。 これを聞いたオバマ陣営のある対アジア担当者は「会談したら『もう大統領気取りか』と批判されるに決まっている。選挙妨害以外の何物でもない」とカンカン。電話で猛抗議を受けた外務省幹部は「考えてもいない」とひたすら釈明せざるを得なかったという。 米民主党議会筋は、背景に谷内氏の個人的思惑があったのではないかと指摘する。同筋によると、谷内氏は、ベーカー前駐日米大使が最近ワシントンに設立したコンサルティング会社のパートナーに名を連ねたという。オバマ政権誕生に備え、“首脳会談”を手がかりに人脈開拓を狙ったのではないかとのうがった見方だ。

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