総論:遠大な野望「2つの100年」を検証する

執筆者:野口東秀2019年9月30日
習近平時代を宣伝する展覧(中国国家博物館。筆者提供、以下同)
 

 10月1日、中国は建国70周年を迎える。その意味とは何だろうか。視点の1つは、中国的権威主義を鮮明にしている中国共産党のプロジェクトが成功するのかどうか、成功するとすれば日本を含めた世界にどのような影響を与えるかにあろう。

 習近平政権は、2021年に迎える中国共産党創設100周年、2049年の建国100周年を「2つの百年」とし、「中華民族の偉大なる夢」を復興させるとしている。軍の近代化を2035年までに基本的に達成し、2049年までには「世界一流」(米軍と並ぶこと)の軍を完成させるという。

 10月1日の軍事パレードから明らかなのは、その強軍路線の拡大とナショナリズムを高めることで、中国共産党の偉大さと正統性を強調することである。

 新兵器を堂々と披露する軍事パレード。そこから見える習近平政権の意図は、中国はすでにアジアで軍事的優位を確立し、西太平洋では米軍を脅かすまでの軍事力をつけている、そして将来はサイバー、宇宙、無人機、レーザーなど軍事技術は米国に追いついていく、との意思であろう。実際、そのポテンシャルを中国は十分持っている。

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