ロシア外務省の日本専門家が次々と退職、人材不足が深刻化している。駐日大使館で政務を担当していたコスチン参事官が最近、本省の日本課長就任含みで帰国したが、五カ月間の休暇に入り、いつの間にか退職してしまった。次世代のホープとみられた若い女性外交官も退職のため帰国した。 コスチン氏は人事上の処遇に不満があったとも言われるが、日本語ができる外交官がこの一、二年次々と外務省に見切りをつけ、ナノテクノロジーの国策企業ロスナノテクに大挙して移動。駐日公使からアジア太平洋局長に昇進したガルージン氏も人材流出に頭を抱えている。 資源を武器に大国復活を果たしたかに見えたロシアだが、若い人材はビジネス界に偏り、官界を目指す者は激減。国家機構の空洞化が深刻な問題となっている。特に外務省は、外交政策をクレムリンの少数幹部が決めてしまうため、政策立案集団としての存在意義も薄れる一方だ。さらに経済省庁に比べ利権にも遠いことが不人気に拍車をかけている。地方への睨みをきかせ中央集権を復活させたプーチン体制だが、足元の官僚機構の弱体化と腐敗を放置したツケに苦しむことになりそうだ。

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