帝国陸海軍の「亡霊」が支配する新型コロナ「専門家会議」に物申す(下)
2020年3月5日
では、彼らと普通の臨床医の違いはなんだろうか。私は、「情報開示への姿勢」だと思う。
敵軍と対峙することが前提である軍隊には、情報開示は求められない。情報開示による社会のチェックが受けられないため、シビリアン・コントロールが重視される。
ただ、軍事は高度に専門的だ。政治家には理解できないことが多く、しばしば暴走する。統帥権を盾に暴走した帝国陸海軍は勿論、世界各地でクーデターが後を絶たない。
軍隊のもう1つの特徴が、自前主義だ。軍医の立場になれば、治療薬やワクチンは自前で調達しなければならない。
その影響は現在も残っている。
たとえば、インフルエンザワクチンの製造だ。ワクチンの確保は軍隊にとって重要課題だ。帝国陸海軍は「伝染病研究所」(伝研)と協力して、ワクチンを確保した。
現在も、ワクチンの製造・供給体制は、他の薬剤とは全く違う。数社の国内メーカーと「国立感染症研究所」(感染研)が協力する「オールジャパン」体制だ。
通常の薬剤は、製薬企業が開発し、臨床試験の結果などを厚生労働省および「医薬品医療機器総合機構」(PMDA)に提出する。当局は提出されたデータを分析し、承認するか否か決める。その際、製薬企業の国籍は問われない。最近は国際共同で治験が行われることが多い。
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