報われない「警官」「医療関係者」大規模デモ続発で混迷深まるフランス社会
2020年7月28日
7月17日からの5日間にわたる厳しいマラソン協議の末、EU(欧州連合)首脳会議が、7500億ユーロ(約93兆円)の欧州復興基金案で合意した。10年前のユーロ危機以来の懸案だったEU共通の連帯資金調達が実現した意義は大きい。もしこれが決裂したら、かつてないEU分裂の危機となるところであった。
エマニュエル・マクロン仏大統領は徹夜交渉明けの7月21日午前5時、「ヨーロッパにとって歴史的な日」とツイートした。よほど安堵したのだろう。
もともとこの基金は、マクロン大統領の発案であった。それが失敗に終われば、個人的な失敗ともなる。国際コンクールで現代風に建て替え、自分の記念碑にしようともくろんだ焼失ノートルダム寺院が元通りに再建されると決まって傷ついた自尊心も、これで少しはいやされたことだろう。
「マクロンは病院を窒息させる」
7月14日はフランスでは「カトーズ・ジュイエ」、日本語では「巴里祭」の名で呼ばれる。映画に音がついたばかりの時代に公開された、この前夜行われる野外舞踏会での恋を描いたフランス映画(1933年公開)の邦題としてつけられ人口に膾炙したものだが、昭和は遠くなった。いまでは、『NHK』などニュースでは「革命記念日」という。たしかに、バスチーユ牢獄襲撃に象徴されるフランス革命を記念する日で、この日の朝には、軍隊行進が行われる。
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