GAFAを狙い撃ちにするEUは、IT覇権を確立できるか (C)AFP=時事

 

 巨大IT規制で名実ともに世界をリードしているのが欧州連合(EU)だ。米国がGAFA規制に本格的に乗り出し、中国も民間のIT大手をにわかに締め付け始めたが、EUの巨大IT取り締まりには一日の長がある。厳罰主義を貫き、「マイクロソフト」や「グーグル」など米国勢を中心に巨額の制裁金を科してきた。IT覇権争いにしのぎを削る米国と中国を尻目に、超国家機関としてのEUの「主権」を守り通し、IT規制で世界の範になることを目指している。

包括規制案

 EUの執行機関である欧州委員会は2020年12月15日、包括的なIT企業規制案を発表した。プラットフォーマーと呼ばれるIT大手を念頭に置いており、特に「ゲートキーパー(門番)」と言われる一部の巨大ITが標的だ。

 規制案は「デジタルサービス法案」と「デジタル市場法案」の2本柱からなる。

 具体的には、EUの人口の10%に相当する4500万人以上の利用者を抱えるIT企業を規制対象と定義。巨大ITが提供する情報交換やオンライン取引のサイトは「準公共空間」になっているとし、社会や経済に及ぼす影響力の大きさに見合った責任を厳しく問う内容となっている。

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