アルケゴス「ポジション500億ドル」の追加清算に怯える市場

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執筆者:鷲尾香一2021年3月31日
野村ホールディングスはドル建て社債の発行も中止 (C)EPA=時事

ビル・フアン氏の資産は50億~100億ドル。その運用時のレバレッジ比率は500%にもなるとされ、まだポジション整理は終わっていないと懸念の声も。

「世界中で続いた過剰流動性相場の終焉の始まりになるかも知れない」(大手証券会社)。

 米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントを震源とする野村ホールディングス(HD)やクレディ・スイス・グループなどの巨額損失発生は、市場関係者に大きな不安を惹起した。

 アルケゴス・キャピタルは米ヘッジファンドのタイガー・アジア・パートナーズの元運用者であるビル・フアン氏が運用するファミリーオフィス、つまり家族の資産を運用する投資会社だ。同社が3月26日に200億ドル(約2兆2000億円)と言われる巨額のポジションを清算したことで、保有していた百度(バイドゥ)やバイアコムCBSなどの株価が大きく下落した。

 アルケゴスの投資手法はデリバティブ(金融派生商品)を利用したレバレッジ取引で、委託保証金を差し入れることによって、その何倍もの金額が取引される。アルケゴスのレバレッジは500%近いものだったと見られている。ところが、投資先の一つである米メディア大手・バイアコムCBSの株価が3月22日の増資計画発表をきっかけに急落。アルケゴスは追加保証金(追証)の差し入れができず、ポジション清算に追い込まれた。

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