金融危機への迅速な対応で「ヒーロー」と称えられたゴードン・ブラウン英首相だが、実体経済の悪化や通貨ポンドの急落で、のっぴきならない状況に追い込まれている。「英国経済は終わった」。米国の著名投資家ジム・ロジャーズ氏は一月、こう言い切り、手持ちのポンドをすべて手放したことを明らかにした。サッチャー改革で復活を遂げ、昨年まで十六年にわたる成長を謳歌してきた英国だが、世界的な信用収縮の大波に飲み込まれ、現在は未曾有の危機に直面している。 年明け早々に高級陶磁器ブランド「ウェッジウッド」の親会社が経営破綻。昨年十―十二月期の企業破綻数は前年同期比で二割増え、「今後も老舗企業や有名ブランドの倒産が加速する」(邦銀アナリスト)のは必至だ。 金融システムも破綻寸前。英政府は一月に、銀行の不良資産の肩代わり保証といった巨額の追加金融支援策を発表したが、二百八十億ポンド(一ポンド=約百三十円)の赤字に陥る見通しの英銀二位ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドだけで、英国の経済規模を上回る約二兆ポンドの債権を抱えると言われるだけに、無制限の政府保証を付ければ、英国そのものが財政破綻に陥る可能性が出てくる。

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