成長力を失った大企業から成長産業へ、優秀な若年世代の働き手をシフトさせる必要がある

 雇用調整助成金をご存知だろうか。業務縮小などで一部の従業員を休ませた場合、その従業員の給料分を国が負担する助成金だ。新型コロナウイルスの蔓延で経済活動にブレーキがかかる中、失業を生まない「切り札」として厚生労働省が活用している。2021年4月分までは特例として、支給額の上限が1人1日=1万5000円に引き上げられてきた。要は、余った人員もクビにせず、企業に抱え続けてもらう、という仕組みである。

 企業が不況に直面した際に、雇用調整助成金を出して企業を支えれば、しばらくして業績が回復した時に従業員は失業せずに済む。再び元の職場で給与をもらって働けるというわけだ。働き手からすれば、失業して仕事を探す事態に直面しなくて済むわけで、非常に良くできた制度のようにも思える。だが、米国など欧米の失業対策とは根本から考え方が違うのである。それが今回の新型コロナ対応で鮮明になった。

対照的な推移を示した日米のGDP成長率

 新型コロナが広がって米国が国家非常事態を宣言した2020年3月、米国での新規失業保険申請件数は1週間で660万件に達し、2週間で1000万件を超えた。2020年4月の失業率は14.7%と、3月の4.4%から激増。人々が失業保険に殺到したことが読み取れる。米国政府は同時につなぎ資金として、ひとり1200ドル(子どもは500ドル)の一律支給を決定。早くも4月には給付が始まった。新型コロナで影響を受けた企業が従業員を解雇することを見越して、失業保険や定額給付金を支給したわけだ。しかも失業手当には従来の支給額に毎週600ドルが一律加算され、失業給付だけで月額50万円を受け取る人も出た。

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