我々はいかに権威主義に立ち向かうべきか

2020年は15年連続で民主主義が後退したという（フリーダムハウスHPより）

　長い歴史の中で、古代ローマ皇帝から帝政ロシアのツァーまで、権威主義支配は普通のことであった。20世紀には世界各地で民主主義が現れ始めたが、今でも世界の国の4割程度は独裁政権下にある（註1）。ここ10年ほどは，世界的な民主主義の後退にあわせて権威主義が台頭しつつある（註2）。

　権威主義の持続は，世界平和と繁栄に対しても重大な意味を持つ。独裁政権は第一次世界大戦以降のあらゆる国家間戦争に関与してきたし、第二次大戦以降の内戦・民族紛争のおよそ3分の2、政府による大量殺害のほとんどすべてに関与してきた（註3）。人権侵害や汚職は権威主義体制の統治下においてより悪化する。こういった理由があるからこそ、権威主義支配に内在するダイナミズムを理解することがきわめて重要なのである。

　このエッセイでは権威主義支配の重要側面に焦点をあてる。初めに、権威主義が意味するところを定義し、研究者による計測・分類について論じる。次に、権威主義支配の進化を説明し、特に今日の権威主義者が民主主義体制を偽装して生き残りを図っている手段について述べる。終わりに、現代の権威主義による挑戦と，それに対抗するために考慮すべき要素に着目して、本エッセイを締めくくる。

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