【Analysis】イラクでシーア派同士が一触即発、試されるイランの影響力
2022年8月15日
[バグダッド発(ロイター)]シーア派指導者ムクタダ・アル・サドル師とシーア派のイラン支持派との権力闘争が内紛に発展するのを食い止められるか、イラクは岐路に立っている。内紛になれば、豊かな石油資源国は経済的に打撃を受け、さらなる不安定化を招く恐れがある。
イラクでは昨年10月の選挙以降、勝利したサドル師が自身に有利な新政府樹立を阻まれたことで、サドル派とイラン支持派の対立が続いている。これまでのところサドル派もイラン支持派も譲歩する気配はない。サドル師の支持者たちがイラク議会を占拠し、街では反サドル派が抗議デモを行うなど、2003年に米軍率いる有志連合が独裁者サダム・フセインを倒して以来続く政治危機がいっそう深まっている。
イランと地中海をつなぐアラブ諸国の帯――イラク、シリア、レバノン――はすべて、イランの影響の及ぶところにあり、この10年、大きな紛争や危機、そして「イスラム国」との戦いに見舞われてきたが、イラクの動静によっては地域にさらなる不安定化要因が加わることになる。イラクにおけるイランの影響力は2003年のアメリカによる侵攻以来、高まっていた。今回のシーア派同士の対立は、スンニ派同士の争いや北部を支配するクルド人組織との争いを抱えるイラクにとって、さらなる分断の種となる。
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