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[シドニー発(ロイター)]シドニーに住むコーヒー業界の技術者リース・ウェアラム(31)にとって、2020年に新型コロナ対策として始まったロックダウンは、単なる巣ごもり以上の意味を持っていた。パブのポーカーマシンでギャンブルに興じるという日課をやめなければならなかったからだ。そこで彼が飛びついたのが、どこからでも大好きな野球の賭博ができるスマートフォンアプリだった。

「ギャンブル自体はやめられないから」と、ウェアラムは言う。「午後のパブで散財していた何百ドルの金を、今ではスポーツ賭博アプリに注ぎ込んでいる」。

 8年前にギャンブルで3万豪ドル(約288万円)の借金を背負い自己破産に追い込まれたが、ほぼ3分の2まで返済したという。

コロナ禍で80%増の損失額

 もともと国民1人当たりのギャンブル損失額が世界最大だったオーストラリアでは、コロナ禍で公営のギャンブル施設が閉鎖に追い込まれると、賭ける側の行動に変化が生じた。ポーカーマシンでのプレイヤーの損失額はコロナ禍によって減少したが、それを上回る速度でアプリを介した損失額が増大した。つまり、従来のギャンブルよりも規制が難しいネットギャンブル業界の危険性に、多くのギャンブラーがさらされているのだ。

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