内閣発足に一安心のメローニ首相だが連立相手は一筋縄ではいかない……(C)EPA=時事

 

 9月25日のイタリア議会選挙で、長くイタリア政界のアウトサイダーだった右派政党「イタリアの同胞」(FDI)が第一党になった。同党は、その前身であるネオ・ファシスト政党「イタリア社会運動」(MSI)や、MSIを冷戦後に再編したナショナリスト政党「国民同盟」(AN)も含めて、議会第一党になったことはなく、右派連合内の第一党にすらなったことがない。その意味で歴史的な勝利であるが、勝利の美酒は長く続かなかった。多党制のイタリアでは単独過半数はあり得ず、政権は連立内閣が常態であり、議会開会前から始まった組閣工作では、FDI、同盟、フォルツァ・イタリアからなる勝者の右派連合の内部対立が明らかになった。

 イタリア初の女性首相となったジョルジャ・メローニ党首についての日本での報じられ方を見ると、普段イタリア政治をよく観察していない記者には、ベニート・ムッソリーニを賛美する若い頃のメローニの発言などを持ち出し、出自の「極右」的性格を強調するものが多かったのに対し、イタリア政治の練達のウオッチャーたちからは、メローニも選挙後は現実的な対応を迫られるだろうというコメントが少なくなかった。

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