自民党大会でのあいさつを終えた岸田文雄首相(C)時事
 
 

 2023年度予算案が2月28日の衆院本会議で可決され、30日ルールにより年度内成立が確実になった。先月召集された通常国会は、4閣僚の更迭などで荒れた昨年から一転。スムーズな運営が続いており、岸田文雄首相は今後、自身が注力する少子化対策や、LGBT(性的少数者)理解増進法案などに取り組む考えだ。

 しかし、それぞれ波乱要素は多く、下げ止まった内閣支持率に再び悪影響を与える可能性も指摘されている。

追及の芽をことごとくつぶした成果

「この10年は、民主党政権によって失われた日本の誇り、自信、活力を取り戻すために皆で力を合わせ、大きくこの国を前進させた前進の10年でもあった。今こそ、安倍晋三元首相、そして菅義偉前首相が築いた前進の10年の成果の礎の上に、次の10年を作るため新たな一歩踏み出すときだ」

 首相は2月26日、東京都内のホテルで開かれた自民党大会でこう力説した。「前進の10年」は、自民党政権下で児童手当に所得制限が設けられたことなどを「失われた10年」と批判している立憲民主党を皮肉ったもので、口調には余裕すら感じられた。演説では特に少子化対策に重点的に触れ、「持続可能で包摂的な経済社会を作り上げていくため、最優先で取り組む。次元の異なる子ども子育て政策を実現し、社会全体の意識を変える」などと訴えた。

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