人手不足が深刻なのは運送業界に限らない(C)photo-ac.com/

 

女性・高齢者頼みの限界

 10年以上前にある地方で講演した際、市町村の将来人口はどうなるのかといったことが話題になった。

 私は「県全体で人口をできるだけ減らさないという目標が大事だ。でも、市町村が個々に策定した人口目標を足し合わせると、県全体の人口予想をはるかに上回る規模になる。おそらく将来の働き手の中には、畑を荒らすサルやシカが入っているのではないか?」と指摘し、参加された方の笑いを取った。

 日本の人口は、2008年の1億2800万人をピークに減少し、2053年には1億人を切ることが見込まれる。毎年数十万人から100万人が減少していくペースであり、都道府県別の人口規模で第38位の秋田県に相当する人口が、毎年消滅していくという凄まじいスピードだ。

 日本の生産年齢人口(15歳以上65歳未満)は、1995年をピークに減少している。2022年10月時点でピーク時から約1295万人の減少となり、単純平均で毎年47万人減少してきたことになる。働き手である就業者数や労働力人口(15歳以上人口のうち、就業者と完全失業者を合わせた人口)の減少は、これに比べれば少なく済んでいる。これまで働き手の減少が緩やかに済んでいたのは、女性や高齢者の労働参加があったからだ。ただ両者の差は、ここ10年程の間に急速に縮んでいる。

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