二億三千万人の分厚い内需と豊富な資源を背景にした安定成長。七月の大統領選では現職のユドヨノ氏再選が濃厚だが……。[ジャカルタ発]「インドネシアには、ASEAN(東南アジア諸国連合)にとどまらず、アジア経済を牽引する役割が期待されるようになってきている」。五月、バリ島で開かれたASEAN+3財務相会議、ADB(アジア開発銀行)年次総会など、アジア経済に関する一連の会議に出席した日本の関係者の一人はそう話した。昨年来の世界的な経済危機を受け、急激に減速しているアジア経済。三月に発表されたADBの「アジア開発展望」で、香港、韓国、台湾や、ASEAN加盟国のタイ、マレーシア、シンガポールなどが軒並みマイナス成長と予想されている中、インドネシアのGDP(国内総生産)は三・六%の伸びが見込まれている。 人口二億三千万の分厚い内需が貿易量減少による冷え込みを緩和し、国際価格が下がったとはいえ、石油やLNG(液化天然ガス)などの資源を有していることも強みだ。加えて、長く「ASEANの優等生」だったタイやマレーシアなど、近隣諸国の発足間もない政権が、内政上の不安を抱えているのとは対照的に、ユドヨノ大統領の政権運営が安定感を増していることが大きな理由のひとつといえる。

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