試験採掘から帰港した深海採掘船に対して抗議活動を行う国際環境保護団体グリーンピースの活動家 [2022年11月16日、メキシコ・マンサニージョ沖](C)REUTERS/Gustavo Graf

[ロイター]世界の海底から脱炭素に資するニッケルなどの鉱物資源(エナジー・トランジション・ミネラルズ)を採掘すべきか――海に沈みつつある太平洋の島国ナウルとおよそ1万1000人の国民が、白熱する論争の渦中にいる。

 この論争では、環境を保全するための最善策は何かということに関するビジョンが真っ向から対立している。ナウル政府は、気候変動による二酸化炭素の排出を抑制すべく世界規模での効率的な電化を呼びかけており、そのためにはまず、より多くの鉱物が必要だとする。一方、環境保護論者は、海底の採掘はかけがえのない生態系の生物多様性を脅かすと信じて疑わない。

 国連の国際海底機構(ISA)は、いずれの国の管轄権も及ばない海域での採掘を許可・規制する権限を有する。本部のあるジャマイカでは3月末まで数週間にわたって、水深4000~6000メートルの深海の海底からポリメタルノジュール(多金属団塊)を採掘する規制基準に関して協議が行われたが、最終決定にはいたらなかった。今後数週間、協議は続行されるが、2021年にナウルが発動したプロセスにより、ISAは基準策定の成否にかかわらず、今年7月から同国海域における深海採掘の申請を受け付けなければならない。

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