日本がG7をリードすべき“pay-to-play”のウクライナ復興イニシアチブ

執筆者:ブルース・ストークス(Bruce Stokes)2023年5月16日
復興への投資保証の取り組みで日本は一歩先んじている[関係省庁による「ウクライナ経済復興推進準備会議」の初会合に臨んだ岸田首相=2023年5月15日、首相官邸](C)時事

 日本が議長国を務めるG7首脳会議が目前に迫った。広島で5月19−21日に開かれるこのサミットの焦点はなんと言ってもウクライナでの戦争だ。ウクライナに対する人道的・財政的支援が喫緊の課題だが、岸田文雄首相には首脳たちを究極のゴールにいざなう任務がある。すなわち、戦争終結後のウクライナ復興を成功に導くこと。それがあって初めて、戦争で痛めつけられたウクライナと周辺地域の安定を確保することができる。

 これは容易なことではない。そもそも戦争がいつ終わるかわからないし、ウクライナの勝利となるのか、それとも膠着状態が続くのかも見えない。復興のためのコストは、かつて類を見ない規模になるだろう。しかし日米欧は、ウクライナの勝利のためにすでに莫大なコストかけた挙句、戦後の平和を達成させないというわけにはいかないのだ。

カギとなるのは公的セクターのリスク引き受け

 戦争の前、ウクライナはどちらかと言えば貧しい国だった。2021年の1人当たり所得は、EU(欧州連合)平均の13%に過ぎなかった。このままの貧困が続けば、EUに加盟するという夢も、広汎な世界経済の一員として安定した民主国家になるという希望も、実現は不可能だ。

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