ディープフェイク画像を作成するために俳優の顔の下半分を覆うワイヤーフレームモデル[2019年2月12日](C)Reuters

[ロイター]ネットに公開された選挙応援のサプライズ動画でヒラリー・クリントンが「実は(共和党大統領候補の)ロン・デサンティス(フロリダ州知事)がすごく好きです。この国が必要とするのは彼のような人です。心からそう思います」と明かせば、ジョー・バイデン大統領がついに仮面を取り、トランスジェンダーの人に向かって「本物の女性になんて一生なれない」と暴言を吐く――。

 2024年のアメリカ大統領選へようこそ。そこでは「現実」がいとも簡単につくられる。バイデンの動画もクリントンの動画もディープフェイク、つまりネット上の膨大な映像から学習したAIアルゴリズムが生成した、いかにも本物らしい偽物だ。ディープフェイクはSNS上に何千と存在し、アメリカ政治の分極化した世界で事実とフィクションの境目をいっそう不明瞭にしている。

 AIやネット上の偽情報、政治活動に関する20人超の専門家に取材したところ、こうした合成メディアは数年前から存在したが、安く簡単に本物のような映像をつくり出すアプリ「ミッドジャーニー」のような「生成AI」が登場したことで、この1年の間にディープフェイクが急増しているという。

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