北朝鮮の金正日総書記の後継者として三男の金正雲氏が内定したとの報道が伝えられる中、同氏を後押しする実力者が偽ドル工作の首謀者であるとの情報がある。 ソウルやワシントンの北朝鮮ウォッチャーらによれば、この人物は四月の北朝鮮最高人民会議で正式決定された三人の国防委員会副委員長の一人である呉克烈大将。かつて旧ソ連の軍事大学に留学し、空軍司令官、軍総参謀長などを経て一九八九年からは労働党作戦部長を務めていた。この数カ月間、呉大将は正雲氏を後継者とするための準備工作を進めており、金総書記から厚い信頼を受けているという。 作戦部長時代から、偽百米ドル紙幣「スーパーノート」の印刷・流通で中心的役割を担い、海外での偽ドル工作を自ら立案、指示。平壌にある偽札印刷工場は呉大将の家族が責任者を務めているとされる。米中央情報局(CIA)も早くから呉大将が偽ドル工作の首謀者とみていたようだ。 五月に対外工作活動を行なう労働党作戦部と対外情報調査部(通称35号室)が党管理下から国防委の下に新設された偵察総局に移され、人民武力部の偵察局と統合されたが、同総局は呉大将の指揮下に置かれるという。

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