連立政権の樹立に合意した「方向―社会民主主義」のフィツォ党首(中央)と「スロヴァキア国民党」のアンドレイ・ダンコ党首(右)、「声―社会民主主義」のペテル・ペレグリニ党首(左)[10月11日、スロヴァキア・ブラチスラヴァ](C)AFP=時事

 9月30日に行われた中欧の小国スロヴァキアの国会総選挙の結果に、世界の注目が集まっている。第1党になった「方向―社会民主主義(Smer-SD)」は、隣国ウクライナへの軍事支援に反対しており、スロヴァキアが欧州の結束を揺るがしかねないとして、危惧されているのだ。日本を含むスロヴァキア国外のメディアは、今選挙ではウクライナ支援が大きな争点となったと報じているが、選挙の結果を左右した要因はそれだけではなかった。

※スロヴァキア国会は一院制、定数150名、任期4年。国会総選挙は、政党別比例代表制(全国一区)に基づき実施。

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 選挙直前の世論調査では、左派の「方向―社会民主主義」と、リベラル系新党の「プログレッシブ・スロヴァキア(PS)」が、ともに支持率20%弱で並んでおり、どちらの政党が勝ってもおかしくない状況であった。結局、選挙に勝利したのは、約23%の票を獲得した「方向―社会民主主義」で、「プログレッシブ・スロヴァキア」は2位(得票率約18%)となった。なぜ「方向―社会民主主義」が第1党になったのか、その背景について詳しく見てみよう。

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