イランのアミール・アブドラヒアン外相はイスラエルと米国に対し、「ガザへの攻撃を止めなければ混乱がもたらされる」と警告した[10月22日、テヘラン](C)EPA=時事

 ハマスによる大規模奇襲攻撃に始まった今回のイスラエル・ハマス間の激しい武力衝突は中東情勢に激震をもたらした。奇襲攻撃から2週間余が経った今、イスラエルによる地上戦開始に身構える形で、イスラエル・ガザを取り巻く国際情勢・地域情勢・地政学環境には緊張感が一層高まっている。世界の石油供給の重心である中東での地政学リスクの高まりは原油価格にも大きな影響を及ぼす。10月初めから奇襲攻撃開始まで、80ドル台前半に向けじりじりと値を下げていた原油価格は地政学リスクに反応、10月16~20日の週では90ドル前後の推移となった。

 軍事衝突の展開、その影響下での中東情勢、その結果を受けての中東の石油供給へのインパクト、の全てに大きな不確実性が存在し、先行きを正確に読むことは難しい。しかし、中東の重要性と原油価格高騰の可能性を認識し、以下では、地政学リスクと原油価格への影響に関して、特に石油供給への影響に着目して考えられ得る展開について考察を行うこととする。

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