ロシア政府は今年、旧日本軍人の名誉回復措置の取り消し、戦前の日本の軍国主義を厳しく糾弾する学校教科書の採用など、対日歴史戦に着手している[9月3日の対日戦勝記念日にサハリンで行われた式典に出席したドミトリー・メドベージェフ前大統領](C)EPA=時事

 ロシア司法省が10月20日、1990年代初めに対日政策を担当した改革派のゲオルギー・クナーゼ元外務次官を「外国の代理人」に指定したことは、主要7カ国(G7)議長国としてウクライナ支援や対露制裁を主導する日本への報復の一環だった可能性がある。

 5月の広島サミットで、岸田文雄首相がウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領を招待し、対露制裁強化の首脳声明をまとめると、ロシアのゲンナジ・オベチコ駐日臨時代理大使は6月、「日本は欧米が進める嫌ロシア的なキャンペーンに参加するだけでなく、先導しようとしている。このような敵対行動は対抗措置なしには済まされない」と警告。アンドレイ・ルデンコ外務次官(アジア担当)も、「日本向けの報復措置を検討中だ」と述べていた。

 冷戦後最悪の局面に陥った日露関係は、ロシア・ウクライナ戦争終結まで、一段と冷却化が進みそうだ。

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