管理職がノルマ未達成の部下に活を入れるのは日常茶飯事だという[自爆営業を促すメール=筆者提供]

 共済事業のノルマを達成するため、JA(農業協同組合)職員が自腹を切って不必要な契約を強いられる「自爆営業」。農水省は監督を強化し、これを「不必要な共済契約」と定めた。それでも同事業を統括するJA共済連が我関せずの姿勢を決め込んでいる中、ついに一人の現役職員が自らの組織の腐敗ぶりを告発した。

改正監督指針で自爆の強要は「不祥事件」に

「自爆営業は地域のJAの問題であり、自分たちは無関係というのがJA共済連の基本的な態度。でも、じつはJA共済連も職員に自爆営業をさせてきたから、それは間違っているんです」

 こう証言するのは、JA共済連の埼玉県本部(以下、JA共済連埼玉)の職員山田正さん(仮名)である。

「日本の国家予算の半分ほど」という57兆6870億円の総資産や、「世界でも指折りの規模」という224兆3355億円の保有契約高などを誇るJA共済連。保険・共済業界で最大ともいえるこの巨大組織の事業は、ノルマで成り立ってきたといっていい。

 ノルマは、JA共済連の全国本部(東京都千代田区)が都道府県本部を通じて、地域のJAに割り振ってきた。地域のJAは個別の経営体であるので、それを受け入れるかどうかは自由である。

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