今週もお疲れ様でした。11月29日に逝去したヘンリー・キッシンジャー元米国務長官の追悼記事を海外メディアで読んでみると、その業績に向けられる言葉がしばしば酷く辛辣なことに驚きます。冷戦期から現代に続く国際秩序に大きな影響を与え、ある意味では今の国際社会の困難の出発点にいる人物ゆえに毀誉褒貶あるのは当然ながら、特に比較的若手の研究者からの評価が手厳しいように思います。それは国益の追求と軍事力を軸に展開されるレアルポリティークが、SNSなどにより国境を超えて広がる世論や影響工作など、その射程外にはみ出しがちな新たな要素に揺さぶられていることとパラレルにも思えて興味深いところです。
キッシンジャー氏が東アジアの秩序形成においてもメインプレイヤーだったことは贅言を要しないかもしれません。とはいえ、細谷雄一・慶應大学教授が2021年の日米首脳会談を受けて日経COMEMOにお書きになった「キッシンジャーが創った時代の黄昏」は“日本にとってのキッシンジャー”を理解するうえで非常に参考になると思います。
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