ガンツ元国防相の戦時内閣入りは政権内における極右と宗教政党の影響力を削ぐ方向に作用する[人質の家族と抱き合うガンツ氏=2023年11月24日、イスラエル・テルアビブ](C)REUTERS/Itai Ron

[エルサレム発/ロイター]ハマスに拘束されていた人質の最初の一陣が11月24日に解放された時、ベンヤミン・ネタニヤフ首相はイスラエル国防省の建物の中でその様子を見守った。一方、ネタニヤフのライバルであるベニー・ガンツは、テルアビブ広場で人質の家族たちに取り囲まれていた。

 元国防相で野党党首のガンツは、10月11日に結成された戦時内閣に名を連ねている。カメラの前では、自分が人質家族と会う時は撮影しないでくれと頼んでいたが、後日公開されたのは、大勢の前で人質家族を抱きしめている写真だった。

 10月7日のハマスによる大規模攻撃と侵入を防げなかったことへの激しい非難を浴びるネタニヤフは、表舞台を避けながら、2正面の戦いを続けている。ハマスとの戦争と、自らの政治生命を懸けた戦いだ。

 74歳のネタニヤフは、長らく安全保障面でのタカ派イメージを保ってきた。対イラン強硬派で、ユダヤ人を二度とホロコーストに遭わせないと誓うイスラエル軍の支持を受けてきた。ところが、イスラエルの75年の歴史上単独のものとしては最悪の攻撃を許してしまった。

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