米中対立時代における太平洋島嶼国(前編)|「ANZUSの湖」に手を伸ばした中国
2024年1月26日
日本の南には世界最大の海洋・太平洋が広がっている。この広大な海洋には小さな島々が散在しており、14の独立国が形成されている。太平洋島嶼国と呼ばれ、パプアニューギニア、ソロモン諸島、バヌアツ、フィジー、サモア、トンガ、ツバル、ニウエ、クック諸島、キリバス、ナウル、パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島を指す。
この地域に関して日常語られることが少ないため、日本ではあまり知名度が高くない国々ではある。しかし近年この地域を舞台に、周辺大国が外交関係をめぐって争い、ビジネスや防衛交流などを積極的に進めている。とりわけ、2010年代後半以降、この地域の国際秩序に関与を強めているのが、中国と米国である。太平洋島嶼国は、この両国による新たな冷戦というべき状況の最前線として、ニュースでも扱われることが増えてきている。また、気候変動や核兵器などをめぐる問題では、被害を受けてきた当事者として国際社会でも注目されている。
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