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【前回まで】野党・未来創造党を率いる江島元総理は、国家防衛支援基金を国会で提案した。ヤジが飛びかう中、与党の南郷委員長も防衛財源の不可欠を説き、現総理に退陣まで迫る。

 

Episode6 一世一代

 

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 防衛大臣という担当閣僚として特別委員会に出席した都倉は、南郷のド迫力の演説を一言一句、心に刻んだ。

 保守党の最長老である南郷が、特別委員会の委員長を買って出た時から、彼の覚悟は感じていた。だが、まさか野党の江島をあそこまで支持するだけでなく、総理に進退まで迫るとは……。

 何かというと、「頑固一徹の薩摩隼人」を引き合いに出す。おまけに話がくどいし、男尊女卑を隠そうともしない。防衛相に就任した時も「この有事に、女が防衛大臣になって何ができる」とぼやいていたと聞いている。

 だが、今の演説は凄まじかった。

 正論過ぎるきれい事に聞こえるかも知れないが、思わず背筋を伸ばしたくなった。

「大臣、一息つきませんか」

 秘書官補佐の樋口梓に囁かれ、都倉は我に返った。

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