連載小説 オペレーションF[フォース] 第58回
2024年3月30日
【前回まで】財務省主計局の周防は、新設の防衛力強化資金対策室への異動を命じられた。そこには、かつて江島総理の下で、歳出半減に挑んだ“チームOZ”の面々が集まっていた。防衛財源の確保を説く南郷委員長の熱弁を、防衛大臣の都倉は胸に刻んだ。自分も国民に直接お願いすると語る都倉の姿に、暁光新聞の草刈は「何かある」と感じていた。
Episode6 一世一代
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控え室で樋口と話し込んでいる都倉大臣を、磯部は少し離れた席から見つめていた。
護衛艦「いずも」で会った時、まさかこんな形で共働するとは夢にも思っていなかった。
北京での大胆な行動に加え、帰国後のバッシングにも耐えたのは、見上げたものだと強い精神力に感動し、こういう人に総理になって欲しいと思った。
しかも、保守党を除名処分となったのに、大逆転で防衛大臣になるとは……。
永田町の一寸先は闇――という格言が、久々に脳裏に浮かんだ。
メディアでは、この「異常人事」について、様々な憶測記事が乱れ飛んでいるが、本人は一向に気にした様子もない。
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