バイデン政権は安全保障関連の予算の中で、ウクライナ支援に使えるものを血眼になって探している[ジョー・バイデン大統領=2024年3月12日、米国・ワシントン](C)AFP=時事

 ロシア軍の侵攻から2年1カ月が経つが、ウクライナによる領土奪還の見通しは立たないばかりか、最大の軍事支援国である米国の支援が尽きたことで暗雲が漂う。11月5日の米大統領選が終わるまで、米国の新たなウクラナ支援が実現しない可能性もでてきた。「ウクライナは今年夏のロシアの攻勢で多くの領土を失う」とウィリアム・バーンズ米中央情報局(CIA)長官は警告する。ロシアが占領した土地のロシア化を進めるだけでなく、占領地を拡大するという暗澹たる展開に、ジョー・バイデンはどう向き合うのだろうか。

支援予算の生殺与奪を握ったトランプ

 大統領選までまだ7カ月以上あるのだが、既にドナルド・トランプ前大統領が配下に押さえ込んだのが連邦議会下院だ。マイク・ジョンソン議長以下、強力なトランプ派を配置し下院が持つ予算先議権を盾に米国の予算執行をバイデン大統領から奪い取った。

 米議会の大型ウクライナ支援予算は戦争が始まった直後の2022年3月に136億ドル、5月に400億ドル、9月に120億ドル、そして12月に450億ドルを可決したものの、それ以降の1年3カ月は可決できていない。

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