(C)時事[写真はイメージです]

【前回まで】防衛力強化資金対策室で周防の上司となった土岐は、寄付で防衛費増額を賄う江島元総理の法案を否定する。土岐は対案として、法人税増額と安全保障税新設を主張した。

 

Episode6 一世一代

 

7(承前)

「問題は、税の呼称だと思うんだ」

 安全保障税とか防衛税では、理解を得にくい。周防は、「平和税」などは、良いのではと思うのだが、あまり受けは芳しくない。

「上智大の宮城先生は、『防人[さきもり]税』を推してる」

 飛鳥時代、朝廷が九州沿岸の防衛のために置いた守備隊のことだ。

「いかにも、宮城先生らしいですね。実際、警戒する相手も中国だし」

「北朝鮮のミサイルが、新潟県新発田市に着弾寸前まできたことで、日本海沿岸地域では、安全保障のための新税は、かなり理解を得ている。問題は、首都圏だな」

 周防は、都倉が精力的に続けているタウンミーティングにも、何度か参加している。土岐が言うように日本海側で催す場合は、防衛力強化を住民側が強く求めているし、その負担については「当然」という声が多い。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。