補選での苦戦もどこ吹く風の岸田総理、訪米直後の支持率微増も背景にあるようだ[ホワイトハウスでの晩餐会でバイデン大統領(左)と乾杯する岸田総理、2024年4月10日](C)AFP=時事

「自民党はダメだ。島根も落とすよ」

 ここは国会議事堂の裏手にある衆議院第二議員会館。与野党の各衆院議員の個人事務所が設けられている。そのある1室で自民党関係者に取材した筆者は冒頭の発言を引き出した。

 島根とは16日に告示を迎えた衆議院補欠選挙の一つ島根1区をさす。今回の補欠選挙は東京15区、島根1区、長崎3区の3つの選挙区が対象だ。柿沢未途前法務副大臣の公職選挙法違反(東京15区)、“セクハラ疑惑”や旧統一教会の関係性などの指摘を受けた細田博之前衆院議長の逝去(島根1区)、自民党安倍派の裏金事件で立件された谷川弥一前衆院議員の辞職(長崎3区)といずれも自民党がスキャンダルを抱えた中での選挙となった。このため長崎と東京で自民党は独自候補の擁立を断念し島根1区に力を集中している。

島根を突き放した茂木幹事長

 しかし、その島根も勝ちはおぼつかないと関係者は語る。島根に応援に入った自民党関係者は「全然熱量が感じられない。候補者だけでなく自民党自体が本当に勝つつもりがあるのか」と疑問の声を上げる。不戦敗の東京・長崎だけでなく島根も落とす“補選全敗”が現実味を帯びてきた。

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