見かけよりはるかに手ごわい習近平のビジョン

Foresight World Watcher's 5Tips

執筆者:フォーサイト編集部2024年4月27日
(C)Sikov/stock.adobe.com

 今週もお疲れ様でした。篠田英朗・東京外国語大学大学院教授は、昨日公開の論考『ガザ危機はどこに向かうか――非欧米に深く浸透する「占領者によるジェノサイド」論』の中で、欧米諸国の威信が失墜し続ける状況について〈「占領者によるジェノサイド」の現象が見られるとき、欧米諸国が「対テロ戦争」の論理構成に従ってイスラエルを支援しても、それは単なる「ダブル・スタンダード」にしか見えない。〉と指摘します。

 その傍らで“オルタナティブ”を提示して見せるのが中国ですが、前米商務省中国担当上級顧問のエリザベス・エコノミーは「習のビジョンは見かけよりはるかに手ごわい」「中国は、自らを歓迎すべき変革の担い手と位置づける一方で、特に好感を抱く者はほとんどいない現状の擁護者として米国を描くことに成功している」と米「フォーリン・アフェアーズ(FA)」誌で記しています。中国の力はすでにピークアウトしたという、いわゆる「ピーク・チャイナ」論に注目が集まる状況ですが、経済的な観点での妥当性は別にして、国際秩序の動揺を捉えるうえでは、ある種のバイアスの源泉になりかねない部分もありそうです。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。