着々と進む「自動車」と「電機」の融合

執筆者:山内桂也2009年8月号

ハイテク技術を満載する次世代車の開発で存在感を高めた電機メーカー。自動車メーカーとの関係は「協業」から「融合」に――。 六月一日に経営破綻した米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)には、約三年半前にすでに死の兆候が現れていた。 二〇〇五年十月八日、米自動車部品最大手デルファイがニューヨーク連邦破産裁判所に連邦破産法十一条の適用を申請した。デルファイは一九九九年にGMから分離・独立した会社である。高水準の医療費や退職後の年金負担など、GM時代から続く高コスト体質を引きずっていた。そこに売上高の多くを依存する親会社GMの販売不振が加わり、経営が行き詰まった。翌年三月にはフォード・モーターを主力取引先とする独立系自動車大手部品メーカーのデーナも連邦破産法十一条の適用申請に追い込まれるなど、北米の自動車業界は「第一次危機」に見舞われていた。 自動車の完成車メーカーと部品メーカーは相互依存関係にある。GMが連邦破産法を申請するとの観測が出始めたのもこの頃。いくら中国や新興国で稼いでも、分身のデルファイを維持できなかったGMの運命は、この時すでに定まっていた。ハイテク化を支える電機メーカー 〇五―〇六年に北米の自動車部品メーカーを見舞った危機は、自動車産業のパラダイムシフトを意味していた。自動車のハイテク化とIT(情報技術)化、ITS(高度道路交通システム)時代の到来である。

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