十一月の株式市場は増資ラッシュに見舞われそうだ。市場から資金が大量に吸収されることで、株価下落が懸念されている。 口火を切ったのは野村ホールディングス。最大五千億円を超える公募増資を発表し、十月初旬に四千三百二十八億円を集めた。旧リーマン・ブラザーズの買収費用や、再建が難航中のすかいらーくの損失処理で、資金が必要だったとみられる。 野村の次は大和証券か。三井住友との合弁解消で共同出資先の大和証券SMBC株を年内に二千億円で買い取る。買い取りにともない負債が一時的に増える。資金調達は急務だ。 みずほフィナンシャルグループも巨額増資が予想される。九月開催の主要二十カ国・地域首脳会議(G20)では銀行規制強化が決まった。株式含み益などを除いた中核的自己資本は四%以上が目安とされるが、今後は優先株や劣後債を除き、普通株と利益剰余金を主とした「狭義の中核的自己資本」を重視すべきだと参加国が合意したのだ。新基準では、みずほは二%割れとの試算もある。増資で大量の株が出回ると株安を招きかねないが、悪影響はアナリストレポートで触れないのが不文律。株が下げたら、原因は「景気対策の遅れ」「米景気に不安」とすり替えられそうだ。

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