「日本の失敗」から学ぶ中国の会計戦略

執筆者:伊田桂2009年11月号

中国が国際会計基準への関与を強めようとしている。日本詣でを繰り返す彼らの狙いとは――。 日本のビジネス界では今、国際会計基準(IFRS=国際財務報告基準)がブームと言ってよい。来年三月末締めの決算から、国際会計基準を使って決算書を作ることが認められたのがきっかけだ。海外で事業展開している企業を中心に、現在は日本基準で作っている決算書を数年内に国際会計基準に変えようと準備しているところが多い。基礎知識として勉強しておこうというサラリーマンが増えているのだ。 実は日本は、この国際会計基準の導入に、二十年来、抵抗し続けてきた。自国企業への影響を怖れて国内基準に固執し、国際的な発言力を増すチャンスをみすみす失ったのだ。その結果、日本は欧米に有利に出来上がった国際会計基準を押し付けられる破目になった。欧米の圧力に屈した途端、導入ブームが起きるというのはわが国お決まりのパターンとは言え、かつての抵抗は何だったのだろうかと思えてくる。 そんな日本の会計を巡るドタバタの歴史に学ぼうとしている国がある。お隣の中国である。戦略を決める三つのポイント 日本の財務省に当たる財政部や、証券市場を監督する中国証券監督管理委員会(CSRC)、日本の公認会計士協会に相当する中国注冊会計師協会などの幹部が、しきりと日本の金融庁や東京証券取引所、会計士協会などに接触し、情報収集に当たっているという。狙いはズバリ、日本の失敗の轍を踏まないことだ。

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