タイ政府が進める銃器の価格値下げの動きに、国会議員の多くが「自衛のためにやむを得ず」として反対しない方針であることが明らかになり、仏教団体や人権擁護団体が反発している。 長引く経済不況、タクシン元首相支持派と反タクシン派との対立激化、さらに南部のイスラム過激派によるテロなど社会不安が高まる中、タイでは凶悪事件が続発しており、住民の間に「自分は自分で守るしかない」との意識が強まっている。南部では仏教徒の子供をテロから守るために教師が銃で武装するケースもでるなど、銃への「需要」が急速に高まっている。 タイでは銃の携行にはライセンスが必要だが、実際は闇取引が横行。改造拳銃や密輸拳銃が出回り、銃を使った犯罪が後を絶たない。 こうした中、タクシン元首相の支持母体で昨年、憲法裁判所から解党命令が出された「国民の力党(PPP)」を再編した「タイ貢献党(PTP)」の議員を中心に、銃所持に関する規制緩和方針の支持が拡大している。これに対し、反タクシン派は「武装化は治安を不安定にする」としながらも、「タクシン派が武装するなら、こちらもするべきだ」と、議員の武装化も進もうとしている。

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