意外に伸びない第三世代携帯電話

執筆者:黒政典善2010年2月号

 携帯電話の加入者数が伸び続けている中国で、二〇〇九年後半から日本などの先進国では主流の第三世代携帯電話(3G)のサービスが本格スタートした。通信キャリア(携帯電話事業会社)は、高速大容量通信が可能になる3Gで音楽を始めコンテンツのダウンロードなどの有料サービスの普及に期待をかける。しかし、通信料金がこれまでと比べ高額なため、通信会社の期待に反して3Gの加入者数は伸び悩んでいる。 中国の携帯電話加入者は〇九年に約一億人が新規加入して七億四千万人を超えた。十五歳から六十四歳までの普及率もついに八〇%にまで達したとみられる。残り二〇%の未加入者(約一億八千万人)と既加入者の買い替え需要により、中国の携帯電話ユーザーは一〇年も一億人規模の新規加入と乗り換えが見込まれる。 中国政府は〇八年五月、通信事業の大再編を発表した。これにより中国の通信事業は中国移動(チャイナモバイル)と中国電信(チャイナテレコム)、中国聯通(チャイナユニコム)の大手三社に集約された。これら三大キャリアは固定電話から携帯電話サービスまでを扱い、〇九年後半から3Gサービスを開始した。三社は一―八月、3G用基地局の建設に約八百億元(約一兆一千億円)を投じた。この間に新設された回線数は前年水準の二・三倍にあたる二万三千回線となった。

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