鳩山政権の経済政策を総点検する

執筆者:高橋洋一2010年4月号

永田町は「政治とカネ」に明け暮れているが、お国の経済運営はどうなっているのか。「ミスター埋蔵金」が、鳩山政権の政篥を総括する。 鳩山政権の経済運営の評判が芳しくない。先に行なわれた長崎県知事選挙で、民主党候補は大敗した。政治とカネの問題もあったが、不景気も敗因のひとつであろう。 経済運営は、マクロ経済とミクロ経済の両面からみることができる。方向として重要なのはマクロ経済であるので、この点から二〇一〇年度予算と経済見通しから、鳩山政権の経済運営をよみとろう。 まず、前政権と比べると、経済財政諮問会議に相当する部署がない。国家戦略室がその機能を担うべきであるが、ほとんど機能していない。例年八月末に行なわれる各府省からの概算要求、九月から始まる予算編成では、マクロ経済の見通しが重要なので、経済財政諮問会議では、その前に経済見通しの状況を公開し、次年度予算の大枠を決めていた。たとえば、七月の段階で、その年度の経済見通しを出していた。昨年も七月一日に、「平成二十一年度経済動向試算(内閣府試算)について」というペーパーで、二〇〇九年度の経済見通しを出している。「上乗せ」された概算要求 この題名が、わざわざ「(内閣府試算)」とついているのに気がついた人はかなりの「霞が関オタク」である。というのは、七月の時点で、その年度とはいえ経済見通しを表に出すというのは、霞が関の基準からみれば、なかなか大胆なことなのである。なぜなら、この時点で〇九年度の見通しを出すと、〇九年度の税収がだいたい計算できるからだ。四月からスタートした〇九年度予算について、ほんの数カ月前の予算審議の時に単なる「見積もり」にすぎなかった税収が、確度が高まって「見通し」になるのだ。場合によっては、見かけ上の赤字が少なかったとしても、現実の赤字はもっと大きいことがバレる可能性もある。

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