これまで国防分野では米国に対する依存が圧倒的に強かったイスラエルが最近、中国やロシアとの関係強化に乗り出している。

 米国の一極支配に抵抗する中国は、中東での米国の橋頭堡であるイスラエルとの軍事協力について、公式には否定している。だが、昨年秋には、遅浩田国防相がイスラエルを訪問、軍需産業を視察したほか、同十一月には実務レベルの中国軍代表団がイスラエル国防省の招待で同国を訪れている。

 イスラエルは既に、国産の空中早期警戒システム「ファルコン」を、ロシアとの軍事協力の一環として中国に輸出したが、さらに新規輸出契約の達成を目指し、中国政府首脳レベルとの折衝を目論んでいる。

「ファルコン」は、中国ではロシア製輸送機イリューシン76に取り付けられており、同システムとイリューシン輸送機を合わせた価格は二億五千万ドルに達する。

 イスラエルはロシアとも、イスラエルの軍事偵察衛星をロシアのロケットで打ち上げる計画で合意、近く打ち上げ実現の見通しとなった。米国はこうした動きに神経を尖らせているが、新たな協力が攻撃兵器の分野には至っていないこともあり、表だった批判は抑制している。

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