昨年八月の「文藝春秋」に、「『北朝鮮兵器』日本企業リスト」という記事が掲載された。日本製品が北朝鮮へ流出し、潜水艦などの部品として使用されている事実を指摘、議員立法による輸出規制法案の制定を目指すと謳ったこの記事は、山本一太・自民党参議院議員と浅尾慶一郎・民主党参議院議員の二人によって共同執筆されたものだ。 その後、同法案は国会に提出される予定だったが、残念ながら時間切れになった。また、山本氏が昨年秋の内閣改造で外務政務次官に就任したこともあり、現在棚上げ状態になっているが、「今後も必ず取り組んでいきます。物の流れをすべて捕捉することは難しいが、少なくともその事実が判明した場合に処罰対象にすると、法律上規定しておくべきです」と語るのは、議員になって二年目の浅尾氏である。 一九六四年生まれの浅尾氏は、国際交流基金理事長も務めた外交官である父・新一郎氏の赴任に伴い、アメリカ、カナダで暮らした経験のある帰国子女。東京大学法学部を経て入行した日本興業銀行からスタンフォード大学経営大学院に留学、MBAを取得した。「政治に興味はありましたが、父も祖父も政治家ではない。地盤看板カバンなしでは難しいと思ってサラリーマンになった」という氏に政治の道を選ばせたのは、留学中の生活体験だった。

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