トヨタ自動車、本田技研工業、ソニー、松下電器産業……。いわゆる「ナショナルブランド企業」がランク落ちした背景には、構造改革への取り組みに市場が下した厳しい評価がある。

 今回のランキングには日本を代表する、いわゆるナショナルブランドの企業が少ない。上位一〇〇社の中でナショナルブランドと呼んでもよい企業は松下通信工業、NTTドコモ、村田製作所、YUASA、藤沢薬品工業、信越化学工業ぐらいなものだろう。

 この種のランキングでは常に上位に顔を出してくるソニーやキヤノン、花王、トヨタ自動車、本田技研工業といった一流どころは下位のランキングに甘んじている。なぜナショナルブランド企業は上位にランキングされなかったのか。理由を探っていくと日本を代表する企業群の構造改革が実はまだ道半ばの状態であることが見えてくる。

 ランキングはTSR(株主還元率)という考え方を採用している。これは、企業経営者の利害と株主の利害は一致しているべきであるという考え方を基本としている。会社とは株主のものであり、経営者は経営を株主から委託されているにすぎない。経営者は企業価値を極大化する義務を負い、その評価は株価に的確に反映されるという“株価オポチュニズム”とも表裏一体をなしている。

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