早くも出たプーチンの強権体質

執筆者:桜井薫2000年5月号

 メディアや地方自治体への統制強化に乗り出して……

[モスクワ発]五月七日、モスクワのクレムリン宮殿で開かれたプーチン新大統領の宣誓就任式典。主要テレビは式典の模様をすべて生中継し、プーチン氏がリムジンで会場に到着し、式典が開かれた「アンドレイの間」に向かう長い階段を一人で悠然と上る姿を放映した。同氏は会場で立ったまま盛大な拍手を続ける招待客の間をゆったりと歩いて壇上に上り、宣誓式に臨んだ。宣誓直後には三十発の祝砲がクレムリン周辺にとどろき、新大統領の「偉大さ」を演出し、「自由で豊かな強い文明国家」(新大統領)建設に向け、プーチン政権がいよいよスタートした。

「ロシアを自由で強く、豊かな文明国家にすべきだ。大統領として今後の活動に誤りがあるかもしれないが、私はロシアの国益のみに基づきオープンかつ正直に行動することを約束する」

 式典でこう演説したプーチン新大統領は、改めて国民の支持を訴えた。昨秋、首都モスクワなどで相次いだアパート爆破事件を受け、「チェチェン共和国の武装勢力のテロ行為」とチェチェンへの軍事進攻に踏み切った直後の異常な「プーチン現象」は影を潜めたが、ロシア史上初の民主的政権交代により選ばれた四十七歳の若き指導者に対する期待は依然として高い。

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