引退をしぶる季鵬氏巻き返し

執筆者:2001年7月号

 来年秋の第十六回中国共産党大会で李鵬・全国人民代表大会(全人代)常務委員長の国家主席昇格説が出ている。中国では指導部は「任期に入る時点で七十歳を超えていてはならない」とされ、江沢民国家主席(党総書記)、李鵬委員長、朱鎔基首相は引退と目されていた。が、引退すれば天安門事件をめぐる本格的見直しが始まりかねず、「最後の事件関係者」の李委員長が巻き返しに出ている。一方、江主席は党中央軍事委員会主席にとどまりトウ小平スタイルの統治を構想している。朱首相は全人代委員長ポストを提示されたといわれるが、江―李体制による長老支配の長期化を懸念、指導部の総入れ替え、若返りを主張している模様だ。 李委員長の国家主席就任を阻もうとする勢力は、今年はじめに李氏の首相時代の最大の汚点である天安門事件をめぐる秘密文書を米国で公開したが、江主席が李氏を弁護し、失脚を免れたという。さらに李委員長の息子や側近の汚職追及も進められている模様で、最近明らかになった中国での三井物産の嘱託社員の贈賄容疑による逮捕も関連があるとの説も出ている。来年秋を目指して中国は新体制に向けた権力闘争の時期を迎えつつある。

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