経済財政諮問会議が策定した「改革工程表」に、不良債権の最終処理方針が盛り込まれた。それに相前後し、一群の米国人グループが来日している。米国整理信託公社(RTC)元議長のウィリアム・シードマン氏を中心にした不良債権処理のプロ集団だ。米政府も「対日助言チーム」として非公式に支援しているというその精力的な活動ぶりに、関係者の注目が集まった。 一行の晴れ舞台となったのが、経済産業省の外郭団体である経済産業研究所が九月二十五日に主催したセミナーだ。「不良資産処理による日本経済再生のシナリオ」と銘打たれた同セミナーには、シードマン氏のほか、KPMGコンサルティング常務のデイビッド・C・クック氏、ビンガム・デーナ・ムラセ法律事務所パートナーのリチャード・A・ギトリン氏、有力投資ファンドのチューダー・インベストメント常務のロバート・H・ダガー氏など、その道では名の知られた面々がズラリと登場したのだ。 クック氏はRTC時代のシードマン氏の部下。八〇年代末から九〇年代初頭に米国が経験したS&L(貯蓄貸付組合)危機の際には、公的資金投入と政府主導の合併・清算で辣腕を振るった。ギトリン氏は柳沢伯夫・金融担当大臣と親しく、今年四月には来日して不良債権処理のアドバイスを行なったことでも知られている。柳沢大臣の「問題企業に“ミシン目”を入れ、グッドカンパニーとバッドカンパニーに分割して企業の再生を図る」という持論に、ギトリン氏の考え方が色濃く反映されているのは衆目の一致するところ。

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