整理回収機構は不良債権のゴミ箱か

執筆者:山内桂也2001年10月号

銀行が見放した企業の再建役を、本当に公の組織が担い得るのか。「なんでもあり」の国家管理は、歯止めなき国民負担を意味している。 九月二十一日、改革先行プログラムの中間とりまとめで、不良債権処理と過剰債務企業の再建を進めるための具体策が示された。 金融庁が株価下落など市場評価に著しい変化が生じている債務者(貸出先企業)を対象にした特別検査を実施。特別検査で破綻懸念先となった債務者に対しては、(1)私的整理ガイドラインに基づく債権放棄、(2)民事再生法など法的整理、(3)整理回収機構(RCC)への債権売却のうち、いずれかの処理を行なう。債権売却の受け皿となるRCCは、債権買い取りの価格決定の条件を緩和するとともに企業再建に取り組む。さらに民間投資家と日本政策投資銀行、RCCなどによる官民合同のファンドを設立、ファンドが企業の株式も買い取り、経営再建を支援するといった内容。 目玉はRCCの機能拡充と同機構の積極活用による過剰債務企業の集中治療だ。樋口廣太郎内閣特別顧問(アサヒビール名誉会長)が提唱した「産業再生委員会」構想、経済評論家の木村剛氏(KPMGフィナンシャル代表)が主張する問題企業大手三十社に対する引き当て強化などの議論を経てたどり着いた結論が、今後の焦点となると言っていい。

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