高級品製造・販売の世界最大手、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンのマイロン・ウルマン氏(五四)が九月末、ナンバー2ポストである「グループ・マネージング・ディレクター(GMD)」職を辞任した。辞任の理由は「健康上の開題から頻繁な移動が難しくなったため」というが、発表が突然だっただけに額面通りに受け取っていいものかと業界の憶測を呼んでいる。 米国出身のウルマン氏は、米百貨店メーシーズの最高経営責任者(CEO)を経て、一九九五年に免税品店チェーンの「デューティー・フリー・ショッパーズ(DFS)」社長に就任。DFSが九七年にフランスのLVMHに買収された後は、DFS、化粧品店チェーン「セフォラ」など小売り部門の統括責任者を務め、九九年七月にはベルナール・アルノー会長に次ぐ実質的な社長ポスト、GMDに抜擢された。 このGMDというポストはウルマン氏のために新設されたもので、グループ全体に関わる重要な業務が担当。ウルマン氏はGMD辞任後も役員として残り、LVMH米法人のトップとして、米国での業務を取り仕切っていく。 GMDポストを引き継ぐのは、イタリア出身のアントニオ・ベローニ氏(四七)。同氏は日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)を経て今年六月LVMHに入社。豊富な国際経験を生かし、売り上げの約八〇%を海外での販売に頼る同社のかじ取りを任される。

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